糖尿病とは「インスリンの作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群」とされています。
インスリンは膵臓で作られるホルモンで、血液中のブドウ糖(=血糖)を必要な組織(肝臓・筋肉・脂肪など)に取り込む働きをします。
結果として、血液中のブドウ糖が減る=血糖を下げる作用を持ちます。
この作用が慢性的に不足することで血糖が高い状態が続き、糖尿病特有のさまざまな合併症を引き起こします。
早朝空腹時血糖値:10時間以上絶食の後、早朝空腹のままの血中ブドウ糖濃度。
随時血糖値:食事と採血時間を問わずに測定した血糖値。
過去1~2ヶ月の血糖の平均を反映する指標。赤血球中のヘモグロビンがブドウ糖と結合した産物(糖化ヘモグロビン)で、数値が高いほど血液中にブドウ糖が多く存在していた(=血糖が高かった)ことを示す。
空腹時に採血を行った後、ブドウ糖75グラムを含んだ水を飲んでもらい、30分後、60分後、120分後にも採血をして、血糖とインスリンの推移を測定する試験。
糖化ヘモグロビン/グルコース分析装置
HbA1cと血糖の同時測定が70秒で可能。
当院に設置していますので、受診当日にHbA1cの結果を見ながら治療方針を決めていくことができます。
糖尿病型 |
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1.空腹時血糖≧126mg/dl、OGTT2時間血糖≧200mg/dl、 随時血糖≧200mg/dlのいずれか |
2.HbA1c≧6.5% |
上記2項目を同時に満たせば、糖尿病と診断できる
長期間持続する高血糖により引き起こされる合併症には、比較的細い血管が障害されることで起こる「細小血管症」と、大きな血管が障害されて起こる「大血管症」があります。
細小血管症は糖尿病に特徴的な合併症で、「糖尿病網膜症」、「糖尿病腎症」、「糖尿病神経障害」があります。
大血管症は糖尿病に限らず、脂質異常症(高脂血症)や高血圧などによっても引き起こされる動脈硬化が原因で発症する血管障害で、おもに冠動脈疾患(心筋梗塞や狭心症)、脳血管障害(脳梗塞や脳出血)、末梢動脈疾患(足壊疽など)のことを言います。
糖尿病治療の基本は何と言っても、食事療法と運動療法です。特に食事療法は重要で、ひとりひとりに見合った適切な摂取量(カロリー)を考えていくことが必要です。そのためにも、定期的な栄養指導が必要と考えています。
運動療法は、年齢や体格、合併症や持ち合わせる病気などによって内容を変える必要があります。合併症の状況によっては、運動を控えなくてはならない場合もあります。
食事療法・運動療法によっても、治療目標に到達できない場合は薬物療法となります。最近は様々な作用機序の糖尿病治療薬が登場し、何種類もの内服薬や注射薬があります。それぞれの薬剤で特徴が異なりますので、糖尿病専門医は患者さんひとりひとりに合わせて処方を行っていきます。残念ながら、1つの薬剤で血糖コントロールがうまくいかない場合は、2つめ、3つめの薬剤を加えなくてはならないこともあります。しかし、食事療法・運動療法を見直すことで血糖コントロールが改善する場合もよくあります。糖尿病に限った話ではありませんが、基本的に、薬剤は最小限にとどめるべきだと考えています。
糖尿病の治療の目標は、合併症の発症や進展を防ぎ、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL:Quality of Life)を維持し、健康寿命を延ばすことです。 そのためには、血糖コントロールを良好に保つことが重要となります。
日常診療においては、血液検査におけるHbA1c値を指標(下図に一般的な目標値を示します)にしながら、薬を調整したり、食事や運動習慣を見直したりします。糖尿病だけでなく、その他の生活習慣病を併せ持っている場合は、血圧や血中脂質などそれぞれを良好にコントロールすることも大切です。
定期的に合併症のチェックを行っていくことも不可欠です。当クリニックでは、糖尿病専門医と栄養士などがチームとなり、ひとりひとりに合わせた治療や目標について、一緒に考えていきます。
治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定する。
注1)適切な食事療法や運動療法だけで達成可能な場合、または薬物療法中でも低血糖などの副作用なく達成可能な場合の目標とする。
注2)合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満とする。対応する血糖値としては、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満をおおよその目安とする。
注3)低血糖などの副作用、その他の理由で治療の強化が難しい場合の目標とする。
注4)いずれも成人に対しての目標値であり、また妊娠例は除くものとする。
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院長・医学博士 三宅 一彰
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